絡繰異聞・前日譚

堕天使01『今までの日常』


 大きな音と共に、大きな影が走って、頭の上から強い風が押さえつけてきた。思わず、まとっている布が飛んでいかないように、ぎゅっとした。これがなくなると、身体がピリピリするし、ブクブクの元にもなるから、手放すわけにはいかない。
 上を見たら、大きな大きな、ヒコーキというらしい鳥が飛んでいた。ヒコーキは、お腹に人をいっぱい呑み込んで、あっちからこっちへ、こっちからあっちへと運んでいるらしい。カケルにぃが、そう言っていた。
 リオンとシオンは、あまり上を見てはいけない。布に埋もれてなくちゃいけない。太陽の光に弱いシラコの悲しい定めだねって、カケルにぃは言うけれど。
 上の上の上は、ヒコーキが飛び回れるくらい、広いんだなぁと思ったら、行ってみたいなぁと思うんだ。あの色とりどりの中をヘロヘロになるまで飛び回れたら、スッとするんだろうなって思うんだ。
 ああ、でもリオンはシオンを置いていっちゃいけないから。シオンがもっと元気になるまでは、これはナイショのオアズケなんだ。
 シオンにはリオンしかいないから、リオンがシオンを置いていったらダメなんだ。
 シオンのお薬にはいっぱいお金が必要だから、よそ見してないでキラキラを集めないと。大きなガラクタの中とか下とかにちょびっとあるから、いっぱい集めないと。
 あ、キラキラって言ったら、また蹴られるや。レアメタルって言わないと。でも、見つけるときにはキラキラなんだよね。キラキラ。
 今日はどれだけキラキラ見つけられるかな。お薬分になったらいいな。
 そして、いつかシオンと一緒に、上の上まで飛んでいけたら良いのにな……。