短編集

白紙の本


 白紙の本が売っているという事実を知って、ボクはかなり衝撃を受けた。
 白紙、白紙の本だ。
 つまり、中身がないのだ。
 きっと、もう少し大人になっていたら、ボクはそれがノートと大差ないモノだとか思ったのだろう。
 けれど、その響きは、ボクを捉えて離さなかった。
 白紙の本とやらが、どうしても気になって気になって仕方なくて、結局それを文具店に見に行って……。
 気がついたら、それがボクの手元にあった。 白紙の本は、開いてみても文字も絵もなく真っ白で、まあ紛れもなく白紙だったわけだけれど。
 何故か、その白さに惹かれてしまった。