十二ヶ月の彩り

十月【誕生花・ガーベラ/誕生石・オパール】


 今日もオパール先生に庇ってもらっちゃった、気がする。血液検査を受けたくないって主張する患者さんを前に困っていたら、いつの間にかオパール先生が来ていて、いつの間にか採血を終わらせていた。あんまりにも手並みが鮮やかすぎて、ちょっと何が起こったのか分からなかったレベル。
 他にも、私が頼んだことが違うように伝わっていた件で他の先生に怒られていたら、それはガーベラ研修医の問題じゃないでしょう? って言ってくれたし、レポートで詰まっていたら、資料が机の上に置いてあった。ご丁寧にフォルダに綴じられていたから、絶対にあれもオパール先生の仕業だと思う。
 これだけ私を庇いながら、同時にご自身の仕事も手抜かりなく済ませるって、一体どんな超人よ。それで医師八年目って、嘘でしょう。私、七年後に同じことできてる自信なんてないから。本当に、これっぽちも。
 きっとオパール先生は、お仕事が恋人なのね。そう思って納得しようとしてるのに、ふと頭をよぎるのは、この前、オパール先生の机で見つけてしまった同人誌。まさか仕事の合間に執筆まで……とは思うんだけど、オパール先生は大体、定時になったらさっくり帰ろうとするし、その割に浮いた話も聞かないし、なんとなーく怪しいよね、とも思うわけで。
 まあでも、女性は秘密の一つや二つ、あった方が魅力的よね、きっと。って言うか、オパール先生が隠れオタクでも、それが仕事に差し支えているところなんて見たことないし。むしろ、絵や文章を創作する趣味を持つ同士として存分に語り合いたいし。
「ガーベラ先生、また考えごとですか」
 おっと、そろそろ仕事に集中しなくちゃ。ただでさえ私はまだまだ未熟なんだから、いつまでもオパール先生のこと、考えている場合じゃない。