十二ヶ月の彩り

十一月【誕生花・キク/誕生石・トパーズ】


 気が付けば、頭一つ分高いそこにあるはずの黄金色を求めて視線が彷徨っている。ふわふわ、柔らかそうな癖っ毛も、ぱっちり二重の瞼とその奥の明るい瞳も、背丈も、全て一度は憧れて、羨んだイケメンの要素だ。
 まあ、あいつに言わせれば、俺のサラサラで指通りの良い髪はずっと撫でていたいらしいし、夜空のような目は神秘的で見てて飽きないらしいし、外見年齢がなかなか変わらないのが羨ましいらしいし、隣の芝生が青いとはまさにこのことなんだろう。
 ……ちっさいから抱きしめやすいとか言われるのは、スッゲー微妙な気持ちになるけどな!
 身長のことはさておき、あいつがイケメンなのは見た目も勿論、むしろ性格の方が紳士だと思う。褒め言葉がいちいち壮麗なのは聞いていて恥ずかしいくらいだけど、行動は嫌味なく親切で、本当に人当たりがいい。女の子に大人気なのも、当然だよなって、頭では納得してるんだ。モヤモヤもしてるけど。
「おや、キク君。そんなにほっぺたを膨らませて。プニプニしたくなるくらい可愛いけれど、どうしたんだい?」
「ひっはりなひゃら言うほろひゃない!」
「聞こえないねぇ」
 噂をすれば、なんとやら。最近では、こうして俺に対するスキンシップが増えて、普段の爽やかな笑顔とは一味違う、ちょっとイイ笑顔で絡んでくる。ムニムニと遠慮なく引っ張られた頬がジンジンと熱を持つのを、両手で挟んで誤魔化した。
 あれ? 俺、何かモヤモヤしていたはずなんだけどな。なんだったっけな。
「うん、やっぱりキク君は、可愛いな」
「トパーズ? 何か言ったか?」