十二ヶ月の彩り

二月【誕生花・フリージア/誕生石・アメジスト】


 今日もフリージアが遊びに来たみたいだ。あの子は豊かな香りをまとっているから、すぐに分かる。
 フリージアは、僕の屋敷に宝石細工なんかを持ってくる職人さんの所の娘さんなんだけど、どうも家が近くにあるらしくて。お仕事に関係なく、よくうちに遊びに来るんだよね。まあ、ここは庭も広いし、おやつも出てくるし、過ごしやすい場所なんだと思う。小さい頃からずっと来ていれば、勝手知ったるものなんだろう。
 ただ問題があるなら、最近のフリージアが僕の忍耐を試すようになってきた点かな。しかも、無意識にやっているっぽいのが、また悩ましい。彼女はきっと、いつまでも同じ日常を繰り返しているつもりでいるんだろう。ところがどっこい、彼女も僕も、不老不死の種族じゃないんだ。
 何が言いたいかって、つまりは女性として成長した彼女が、好い香りをさせながら、柔らかい身体で僕に抱きついてくるっていう……ううう、ここで振りほどけない僕を軟弱者と罵ってくれて良い。でも一回恥ずかしくて逃げようとしたら、フリージアにすっごく傷ついた顔をされたんだ。あんな顔は、二度と見たくないんだ……。
「あっ、アメジスト君! 今日はここにいたんだね」
 文字通り、花が咲くような笑顔で駆け寄ってくるフリージア。
「ね、ね、聞いて! 今日はね、工房でキレイな紫色の石を仕入れたからね、これ、作ってみたんだ。アメジスト君の目の色にそっくりだなって思って」
 差し出されたのは彼女の名前にもなっている、フリージアの花。花言葉は、確か、紫色の場合は『憧れ』……か。
 僕の色の、枯れないフリージアの花を差し出してくるフリージア。さすがにこれは、期待しても良いのかな?