ドリームワールドオンライン

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 うーんうーんと、画面を前に呻る友。その傍らには、彼女自身が縫った鞄や衣装が山と積まれている。
「ぷっはー、やっぱりデジタル苦手だわー!」
 ついに両手を宙に投げ出し、椅子の背もたれに全体重を預ける様子は、まるで漫画の一コマのよう。
 斜め前に座る自分は、山と積まれた彼女の作品たちから一つ一つをそっと持ち上げ、戻しては、感嘆の息を吐いていた。ポップで可愛らしいデザインのそれらは、自分が数週間、いや、数ヶ月頑張った程度では真似ることすらできないだろう。何というか、こう、センスの差を感じる。
「あの雑貨の作家さん、ホントどうやってリアル作品のドリワ用デジタルデータ作ってるのかしら。良い意味で頭おかしいわー」
「頭おかしいって……言い方……」
「えー、だってさぁ。公式から出てるパーツ組み合わせるだけでもしんどいのに、あの作家さん、多分パーツからしてオリジナルだよ?」
 おそらく自分の知り合いだろう相手の話題の中に、聞き捨てならないフレーズを聞いた気がした。
 公式から、出てる、パーツ。
「……ねぇ、どうしたの?」
「ん?」
「手が止まったよ」
「公式、装飾用パーツ、出してるの?」
 今度は友が、フリーズした。
「え、知らなかったの!?」
「外見カスタマイズできることは知ってたけど、ゲーム外でカスタマイズされたパーツは全部、誰かの自作だとばかり。えっ、てことは、事前に外見パーツ改造したい放題……!」
「ちょっと、今まで気付かなかったって、うっかりにもほどがあるよ!?」
 少しぼんやりとしていた気持ちが、一気にしゃきっと目覚めたような思いだ。
 データカスタマイズができるかはやってみないとわからないにしても、デジタルで遊ぶことなら、ミシンと格闘するよりは得意だから。
「うはぁ、俄然やる気が出てきたなぁ」
「ふうん、それならさ」
 良き情報をもたらしてくれた友が、にんまりと笑う。
「ちょっと練習かねて、この山データ化するの手伝ってくれない?」
 自分の口角がつられたように持ち上がるのが、心地よい。
「できたデータ、こっちにも使用許可くれるなら良いよ」
 毎日とは言わないまでも、何かしらの発見があって、友たちとの絆も深められる。本当に、自分向きだと思う。
 たまにはのんびり、たまにはハッスル。
 ドリームワールドオンラインを取り巻く世界は、今日も優しい。